研究概要 |
本研究課題では、 (1)様々なゲート構造を有する強磁性単電子トランジスタの作製技術を確立し、素子特性のより詳細な検討を行い、基本3端子素子としての基礎特性を把握する。 (2)ゲート電極にRC直列回路を有するRC結合型強磁性単電子トランジスタを用いたメモリー素子を作製し、電荷と磁気(スピン)を記憶量とする新しいメモリー素子技術の研究開発を行う。 を目的としている。 第2年度(平成17年度)では、前年度に確立した走査型プローブ顕微鏡(SPM)局所反応場制御リソグラフィー法により、「強磁性単電子素子の構成要素であるプレナー型強磁性トンネル接合作製技術の確立」を年度目標として、研究開発を行った。 RC結合型強磁性単電子トランジスタを実現するためには、その基本要素であるプレナー型構造を有する強磁性単一トンネル接合の詳細な評価が必須である。具体的には、Ni,Fe,NiFeの強磁性金属に対して、前年度に提案・開発した新しいナノリソグラフィー技術であるタッピングモードを用いたSPM局所反応場制御リソグラフィー法を用いてプレナー型強磁性単一トンネル接合素子を作製し、電気的特性・磁気抵抗特性の評価を行った。形状磁気異方性を導入したNi系素子では、16Kにおいて180%を越える巨大な磁気抵抗変化率が得られた。また、Fe系素子では室温において30%、NiFe系素子では室温において7%の磁気抵抗変化率が得られた。これより、強磁性金属材料と素子構造、磁気抵抗変化率の関連が明らかとなり、RC結合型強磁性単電子トランジスタの実現に最適な強磁性金属材料の検討に対する有効な知見を得ることが出来た。
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