平成16年度は、最小限の地震観測網(2観測点)のデータから面的かつ詳細な地震動分布を予測するため、ニューラルネットワーク技術を用いた地震動予測システムを開発した。開発した地震動予測システムは、過去の強震動データ、常時微動データ、そして、地盤分類データを学習することによって、未知の地震動を予測するものある。さらに、このシステムは増幅特性の非線形性、すなわち、入射する地震動の特性による応答特性の変化まで考慮することが可能である。予測に要する時間は非常に短く、神奈川県逗子市内を面的に覆う913地点を予測した場合でもパーソナルコンピュータ上で瞬時に結果が出力された。なお、今回は最大加速度を予測対象としたが、強震動データから計算可能な値(最大速度値や計測震度など)であれば、事前に学習を行うことにより予測することが可能である。 また、地震動予測システムを含む速報システムのプロトタイプの作成を開始した。プロトタイプシステムは、データ取得部(地震計、AD変換、波形表示)、地震検知部、通信部、地震動予測部(上記システム)、そして、予測結果表示部という構成になっている。最終的には地震検知後30秒以内に地域の面的地震動予測図が表示されることを目指している。 次年度以降は、プロトタイプシステムを完成させ、実践の中でその適用性や、予測結果の効果的な活用法について(インターネットでの公開やGISを活用した避難経路の解析など)検討を行う予定である。
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