ヒト浮遊細胞Ramosにおいては、CD23A分子は、IL-4の刺激依存的に活性化される転写因子STAT6の標的遺伝子であることが文献的に報告されている。我々は、STAT6に対して通常のクロマチン免疫沈降法(ChIP)を用いて沈降されるDNAが、IL-4刺激の有無により約8倍以上の差で変化することを観測し、実験系が機能していることを確認した。また、ヒト接着細胞BEAS-2におけるSTAT6の新規標的遺伝子を確認するために、我々は既知のSTAT6の標的遺伝子15種類についてRL-RT-PCRを行った。その結果、Eotaxin遺伝子がBEAS-2細胞で発現しており、またIL-4刺激依存的にその遺伝子発現が8倍程度上昇することが確認された。また同時に我々の収集した転写開始点よびプロモーター配列データベースDBTSSよりSTAT6の結合コンセンサス配列を転写開始点上流1kb以内に持つ遺伝子を200個選択し、該当領域をゲノムDNAからPCRにより増幅、luciferase vectorにクローニングした。一過的な遺伝子導入による転写活性可能の測定を行ったところ、34種類の約IL-4刺激依存的に4倍以上の転写活性化能の上昇が認められた。これらの遺伝子に対してRL-RT-PCRによりmRNAレベルでの遺伝子発現の上昇を確認したところ、4個の遺伝子で有意にmRNAレベルの上昇が確認できた。これらの遺伝子についてChIPを行ったところ2種類の遺伝子についてSTAT6の該当するプロモーター領域への結合が確認された。これらの検討により明らかになったSTAT6の標的遺伝子群をポジティブコントロールに用いて、今年度プロモーターチップの検討を試みる予定である。
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