研究概要 |
申請者は動的な生命現象のシステム的理解(同定・制御・再構築)を目的として、哺乳類の体内時計をモデル系に、ゲノム・リソース(情報・実験材料・技術)を駆使したシステム同定方法を開発し、これまでに朝・昼・夜の時計制御配列(E/E'-box,D-box,RRE)を同定してきた。 本研究では、はじめに哺乳類の体内時計のコアとなっている16個の転写因子の制御領域中に時計制御配列がどのように存在しているのかについて機能解析を行い、29個の時計制御配列(11個の朝配列、10個の昼配列、8個の夜配列)を同定した(上田らNature Geneticsに発表)。面白いことに、夕方遺伝子は朝配列と夜配列を両方有していることがわかった。次に、マウスの体内時計中枢(視交叉上核)と末梢時計組織(肝臓)のゲノムワイドな発現解析を行い、それぞれ300個および1200個の時計関連遺伝子を同定した。さらに、ゲノムワイドなプロモーターのデータベースを構築し、これらのマウスの体内時計中枢(視交叉上核)と末梢時計組織(肝臓)の時計関連遺伝子についてプロモーターの予測を行った。続いて、時計中枢、末梢時計の時計関連遺伝子のプロモーターを取得するためにプライマー設計を行った。現在、体内時計中枢の時計関連遺伝子のプロモーターについて、包括的な取得を行っている。また、これら時計関連遺伝子のプロモーターの高速かつ高精度のリアルタイムモニタリングを可能にするためのシステムを構築している。
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