研究課題
「新しい空間経済学」に基づく「計算可能」な複雑系経済システムの開発を行い、多地域・多産業を含む一般均衡モデルにおいて計算機による体系的なシミュレーションにより産業の集積パターンの分析を可能にした。同モデルを用いて、本プロジェクトにおいて導入した計算機システム上でシミュレーション分析を開始するとともに、集積の経済学における実証分析手法の整備を進めた。本年度はとりわけ後者の実証分析手法の開発に多くの時間を割き、経済集積の形態、および空間分布(集積の空間規模・数・空間的周期等)の検出方法の体系化を進めた。特に、個々の経済集積を統計的に検出し、その空間パターンを体系的に特徴付ける実証分析手法は斬新なものとなった。日本のデータに開発した手法を適用し、産業集積の検出、産業間の集積度の比較検定、産業間の集積形成の空間的同期傾向の検出、産業構造の空間的フラクタル性など、経済集積パターンに関する新しい結果を得た。従来、空間経済学の殆どの研究成果は、少数地域・少数産業(例えば2地域2産業)など単純系における限定的なものであったが、上記の「計算可能な」複雑系理論モデルと現在開発中の実証分析手法を併用することで、理論・実証両面からより現実的な産業・人口集積パターンのメカニズムに関する分析を行うことが可能となる。研究成果の一部は、2004年6月にはパリにおいて同様な問題意識を持った研究者が開催する「集積の経済学」に関する学会において報告し、国際雑誌に掲載した。
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European Economic Review Vol.49
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V.Henderson and J.-F.Thisse(eds),Handbook of Urban and Regional Economics Vol.4
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Portuguese Economic Journal (発表予定)
Review of Economics and Statistics (発表予定)