研究課題
本年度の目標である、イマージョン・グレーティングを用いた波長分解能10万の近赤外分光器の最終光学設計を終了した。最初に想定していた全反射系方式でなくても十分な効率が得られることがわかったため、カメラ部分には透過光学系(レンズ)を用いた設計とし、むしろ検出器全面にわたる光学結像性能を最適化した。一方、通常の反射型エシェル・グレーティングを使用した波長分解能3万のモードの光学設計も併せて行った。本研究では、まず、この「通常モード」を着実に立ち上げた後に、グレーティングをイマージョン・グレーティングに置き換えて最終目標である分解能10万の分光器に完成させることにした。「通常モード」については、レンズおよび反射型グレーティング等主要な光学部品のパラメータを定め、製作を終了した。イマージョン・グレーティングについては、当初使用予定だったGaAs結晶は、分光測定の結果、目的の波長である0.9-1.1umにおいて透過率が低いことが判明し、別の赤外線透過結晶による再設計を行った。現在、屈折率が2.5に近いZnSもしくはZnSeの二つの素材でのグレーティングを設計しているが、必要な表面粗さが達成できるかを知るために、まず試験研削を行った。その結果、ZnSの研削で表面粗さ20nm(rms)が達成できることを確認したが、今後パラメータの調整等により目標である10nm(rms)を目指す。光学系の検討に時間をかけたため、機械設計は光学部品のマウントだけにとどまったが、設計が終了したものについては、製作を終了した。また、設計の終了した検出器読み出しシステムの試験機の製作をすすめた。まだ、完成はしていないが、来年度の5月に組み上げ、夏に試験を開始する予定で計画をすすめることができた。
すべて 2005 2004
すべて 雑誌論文 (2件)
研究会集録(IAU Colloquium 199, March 2005,上海)
研究会集録(ESO-ARCETRI WORKSHOP, Sept.2004, Italy)