1.宇宙航空研究開発機構筑波宇宙センターの積分球を使用して、月面観測用画像分光望遠鏡ALISの輝度較正試験を行った。較正により、観測対象物の輝度を正確に測定できるようになった。 2.米国ハワイ州マウイ島にて17年度の月観測の準備を行った。ハワイ大学のハレアカラ山頂観測所を借りる手続きを行い、山頂設備の試用や観測所から観測可能な方向の測定を行った。 3.ハレアカラ山頂に屈折式望遠鏡と冷却CCDカメラを運び、恒星を時間を変えて連続観測した。観測画像から大気の透過率を計算したところ、大気の透明性と安定性が極めて高く、17年度の月観測が問題なく行える環境にあることが確認できた。 4.大阪大学理学部屋上にALIS用の電動格納庫を設置した。また、ALISの月観測と同時に恒星を観測し大気の状態をモニターするなど、多目的な支援観測を行う液晶フィルタ式望遠鏡も設置した。当初は単波長望遠鏡を4連装とする予定であったが、液晶フィルタ式に変更し、1本の望遠鏡で多数の波長が測定できるように機能を上げた。 5.大阪で月及び恒星の観測を開始した。大阪の空はハワイの高山に比べて遥かに光の透過率が低いが、数回の測定のうち1度は透過率は低いものの変動は少ない日があることがわかった。歩留まりは悪いが、大気が安定していればプラスマイナス数%以内の精度で月測光観測が可能であることがわかった。 6.筑波と大阪にてALISによる月観測を行いデータをユーザーに配布した。次年度のハワイ観測に備えて、各ユーザーがそれぞれの解析目的にあわせた解析ソフトの開発を行った。
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