研究概要 |
1、磁力線平行及び垂直フローの速度シアを精密制御できる新しいプラズマ源を製作した.まずイオン源用に外側最大直径が10cmの3分割型タングステン電極を製作した.更に,直径10cmのタングステン電極をイオン源同様に3分割して,電極表面に酸化バリウム又は六硼化ランタンを塗布することで電子源とした.これらを,現有の直線型接触電離プラズマ生成装置(磁場1-4kG)の両端に各々対向して設置し,イオン源前面には電子反射用の負電位印加グリッドを設置した. 2、イオン源電極にカリウムの蒸気を吹きかけ,接触電離により正イオンを生成すると共に,対向の電子源電極より電子を放出することで,完全電離無衝突プラズマを生成した.イオン源及び電子源の各分割電極に印加するバイアス電位を変化させることで,イオン源電位制御により磁力線平行方向のフロー速度シアが,電子源電位制御により半径方向電位分布変化に起因するE×Bドリフト(磁力線垂直)フロー速度シアが形成されていることを観測した.さらに,イオン源・電子源電位を同時に制御することによって,平行フロー速度シアに垂直フロー速度シアを制御しながら重畳することに成功した. 3、平行フロー速度シアを形成した場合,その平行シア強度がある閾値を超えるとドリフト波不安定性が励起されることが分かった.その時に,垂直フロー速度シアを重畳することによって,垂直シア強度が小さい場合には,上記の不安定性が一度抑制されるが,垂直シア強度を大きくしていくことによって,再び不安定性が励起されていくことが明らかになった. 4、次年度に予定しているレーザー誘起蛍光法(LIF)フロー速度シア計測を今年度から実施した.まずは分割型イオン源電極のみをKoepke教授研究室(ウェストバージニア大学・米国)に持ち込み,LIF計測によって平行フロー速度シアが形成されていることを実証した.
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