研究計画:超臨界流体の局所構造を解明し、流体中でレーザー照射により電子状態の異なるナノクラスター創製の研究を行う。 成果: (1)超臨界流体の局所構造を動的光散乱法とラマン分光法を用いて研究を行った。光散乱測定では、非水素結合性流体の場合、流体中のクラスターサイズは物質に依存しない普遍的な物理量であり、また水素結合性流体はこの普遍性からずれ1.5倍程度大きなクラスターを生成することが示された。一方、ラマン分光法では分子間の引力と斥力エネルギーを分離し、それぞれの密度変化という視点から、流体の局所構造を考察することができた。 (2)Siクラスターの創製:性質の異なるSiナノクラスターを選択的創製に成功した。クラスターの吸収スペクトル・動的光散乱測定より、流体の密度を変えてアブレーションすると異なる電子状態・異なるサイズのSiナノクラスターが選択的に創製した。また、クラスターの生成効率とクラスターの選択的創製には、流体の局所構造が著しく影響することが示された。すなわち、流体の局所構造が気体的領域から液体的領域に変化するときに、生成したクラスターの電子状態ならびにそれらクラスターの生成効率も顕著に異なることが示された。
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