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2005 年度 実績報告書

疎水環境下の水の相転移および疎水効果

研究課題

研究課題/領域番号 16685003
研究機関岡山大学

研究代表者

甲賀 研一郎  岡山大学, 大学院自然科学研究科, 助教授 (10315020)

キーワード水 / 疎水壁 / カーボンナノチューブ / 相転移 / 相図 / シミュレーション / アルゴン / 細孔
研究概要

1.準二次元水の相図
スリット状細孔内に拘束された水の熱力学状態は温度・圧力・細孔幅の三つの熱力学変数で指定される.したがって相図も三次元熱力学空間内で定義され,2相共存領域は曲面,3相共存領域は曲線となる.広範な熱力学条件における分子動力学シミュレーションの結果および準二次元系に拡張したクラペイロンの式から,この系の2種類の固体相を含む相図を明らかにすることができた.この相図には二つのドーム状の領域が存在し,その各々が単層氷と二層氷(あるいは二層アモルファス)の安定領域を示す.単層氷の基本構造は四角格子であり,その残余エントロピーは,分子数の平方根に比例し,したがって分子当たり0である.この相図はそれぞれの固相に対して最も高い融点を与える細孔幅が存在することを示している.また二つの固相が安定に存在する領域は温度200Kまで重なりを示さず,その細孔幅では極低温まで水が結晶化しない可能性が示された.より大きな細孔幅でもバルク氷とは別の固相が存在する可能性は少なくなく,今後研究を進める予定である.
2.球形粒子系の最密充填構造と相図
分子動力学シミュレーション及びエネルギー極小構造解析によって,不均一系の多様な相挙動は水などの複雑液体に限らず,円筒状細孔内に拘束されたアルゴンのような単純液体にも見られることが明らかになった.第一に,ある細孔径以内では,最密充填構造は三角格子の折り畳み方法と一対一対応するという予想を提案した.これより,なぜ直径の変化とともに,様々な準一次元結晶構造および螺旋構造が現れるのかが説明できる.第二に,長距離相互作用が存在しなくても準一次元系において一次相転移的相変化が観測されることを示した.さらに圧力-直径面および温度-直径面の相図が正確に得られ,低温では鋭い相境界が存在し,高温になると境界が明確でなくなることが明らかになった.

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2006 2005

すべて 雑誌論文 (3件)

  • [雑誌論文] Close-packed structures and phase diagram of soft spheres in cylindrical pores2006

    • 著者名/発表者名
      Kenichiro Koga
    • 雑誌名

      Journal of Chemical Physics (印刷中)

  • [雑誌論文] Phase diagram of water between hydrophobic surfaces2005

    • 著者名/発表者名
      Kenichiro Koga
    • 雑誌名

      Journal of Chemical Physics 122

      ページ: 104711

  • [雑誌論文] Formation of ice nanotube with hydrophobic guests inside carbon nanotube2005

    • 著者名/発表者名
      Hideki Tanaka
    • 雑誌名

      Journal of Chemical Physics 122

      ページ: 094706

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公開日: 2007-04-02   更新日: 2016-04-21  

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