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2006 年度 実績報告書

疎水環境下の水の相転移および疎水効果

研究課題

研究課題/領域番号 16685003
研究機関岡山大学

研究代表者

甲賀 研一郎  岡山大学, 大学院自然科学研究科, 助教授 (10315020)

キーワード水 / 疎水壁 / カーボンナノチューブ / 相転移 / 相図 / シミュレーション / 吸着 / 線張力
研究概要

球形粒子系の最密充填構造と相図
分子動力学シミュレーション及びエネルギー極小構造解析によって,不均一系の多様な相挙動は水などの複雑液体に限らず,円筒状細孔内に拘束されたアルゴンのような単純液体にも見られることを明らかにした.まず,シミュレーションによって得られた構造の解析から,最密充填構造は三角格子の折り畳み方法と一対一対応するという予想を提案した.これより,なぜ直径の変化とともに,様々な準一次元結晶構造および螺旋構造が現れるのかが説明できた.第二に,長距離相互作用が存在しなくても準一次元系において一次相転移的相変化が観測されることを示した.さらに圧力-直径面および温度-直径面の相図が正確に得られ,低温では鋭い相境界が存在し,高温になると境界が明確でなくなることを明らかにした.
カーボンナノチューブ内の水の構造と相挙動
カーボンナノチューブ内の水の分子動力学シミュレーション及びエネルギー極小構造解析によって,これまでに報告のない準一次元氷の構造を複数見いだし,それらの固相が係わる水の相転移挙動を明らかにした.今回見つかった氷の構造は外層を形成する水とその内部に存在する水からなり,Filled ice nanotubeと呼ぶことができる.外層の構造を開いて二次元にすると四角格子となる点は,以前我々が見いだしたN角形型アイスナノチューブと同様であるが,四角格子の巻き方により,結晶構造と螺旋構造が合われることが明らかになった.外層の内側に存在する水は秩序構造をとらないことが明らかになった.
線張力の理論
疎水性表面の濡れ現象と密接に関連する線張力の理論的計算を行った.ギブズの表面吸着式を単純に線吸着に拡張した式では,線張力が接触線の位置の選び方に依存するという結果をもたらす.この最近明らかになった事実を説明するために,新しい線吸着の式を導いた.また平均場密度汎関数モデルの数値計算を行い,以上の事実と新しい吸着式の妥当性を確認することができた.

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2006 その他

すべて 雑誌論文 (5件)

  • [雑誌論文] Close-packed structures and phase diagram of soft spheres in cylindrical pores2006

    • 著者名/発表者名
      Kenichiro Koga
    • 雑誌名

      Journal of Chemical Physics 124

      ページ: 131103

  • [雑誌論文] Theoretical studies on the structure and dynamics of water, ice, and clathrate hydrate2006

    • 著者名/発表者名
      Hideki Tanaka
    • 雑誌名

      Bull.Chem.Soc.Jpn. 79

      ページ: 1621

  • [雑誌論文] Line adsorption in a mean-field density functional model2006

    • 著者名/発表者名
      Kenichiro Koga
    • 雑誌名

      Molecular Physics 104

      ページ: 3469

  • [雑誌論文] 微小空間内部の水の構造と相転移2006

    • 著者名/発表者名
      甲賀研一郎
    • 雑誌名

      現代化学 9月号

      ページ: 24

  • [雑誌論文] Structures of filled ice nanotubes inside carbon nanotubes

    • 著者名/発表者名
      Daisuke Takaiwa
    • 雑誌名

      Molecular Simulatioin (印刷中)

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公開日: 2008-05-08   更新日: 2016-04-21  

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