研究課題
当初の研究計画に従い、固相不斉触媒とその反応溶液の直接的な円二色性検出により、効率的な不斉触媒の探索を目差した。実際には、固相上に光学活性ジアミン配位子のライブラリーを構築し、種々の固相担持の不斉銅触媒を得た。先に開発した円二色性検出を用いる新規な迅速解析システムにより不斉触媒の探索を行ったところ、不斉Henry反応に有用な触媒を見いだすことに成功した。本結果は、ジアミン-銅(I)触媒を用いる不斉Henry反応の初めての成功例である。更に、独自の不斉配位子の設計を基に、固相不斉触媒のライブラリー構築にも適用可能な新規光学活性イミダゾリン配位子の開発にも成功した。金属錯体を用いる触媒反応としては、銅-ピリジン系配位子を触媒に用い、カルボニル化合物のα-位を効率的に空気酸化することで、α-ヒドロキシケトンを得る環境調和型の触媒反応プロセスの開発にも成功した。また、固相不斉触媒ライブラリー構築を効率的に行えるSynPhase Lantern上でのSplit-Pool合成により、新規不斉配位子の開発を目差した。固相上で合成した化合物の構造ならびに純度を解析する手法として、固体NMRを用いることとし、SynPhase Lantern測定用の専用プローブを開発した。NMRの測定においては、Lanternを適切な有機溶媒で膨潤させた後に、分子運動の激しい領域だけを選択的に取り込む手法の適用を試み、NOEの効果を効率的に得るPulse Saturation Ttansfer(PST)法が本目的に有用であることを見いだした。これにより、SynPhase Lanternを非破壊に直接解析することに世界で初めて可能となった。
すべて 2006 2005
すべて 雑誌論文 (3件)
Tetrahedron Letters 47巻
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ページ: 2670-2672
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