研究課題
ホウ素上に金属配位基となるイミダゾリル基及び置換活性なアルコキシ基を有するアニオン性キレート配位子の無機酸化物担体上への固定化を検討した。アルコキシ基を有する配位子とアリルリチウムとの反応により、末端にC=C部位を含むアリル化配位子を合成した。末端にチオール基を有するアルコキシシランとアリル化配位子のカップリングによりリンカー部を連結した配位子を合成し、これを脱アルコール縮合によってシリカ担体上に固定化することで、チオール基を含まない配位子固定化シリカを合成した。このシリカ上に固定化された配位子は鉄イオンと安定に錯形成することが明らかとなった。さらにアニオン性金属酸化物クラスターであるポリオキソメタレートの自己組織化能を活用した新規固体微粒子触媒の開発を検討した。12個のタングステンからなる-3価酸化物クラスター陰イオンの水溶液と、環状アミン配位子を有する+3価コバルト錯体陽イオンの水溶液を混ぜ合わせるだけで瞬時に自己組織化が進行して、あらゆる溶媒に対して不溶な平均粒子径が40nm程度のナノ微粒子が生成してくることを見出した。これは構成要素が共に多価イオン種であることによる静電的相互作用の強さに加え、疎水的な有機アミン配位子の存在により水に対する親和性が著しく低下したためと考えられる。またタングステンの一部をバナジウムに置換した金属酸化物クラスター陰イオンと陽イオン性遷移金属錯体を複合化することで得られた不溶性微粒子は、過酸化水素を酸化剤とする環境調和型オレフィンエポキシ化反応に対して固体触媒として機能するが、このとき金属酸化物クラスターの対イオンである錯体陽イオン種の電荷に応じて触媒活性が変化することが明らかとなった。
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