研究課題
ホウ素上に金属配位基となるイミダゾリル基を有するアニオン性キレート配位子を無機酸化物担体上に固定化することで酵素の触媒活性点に類似した配位環境を提供できる新規固定化錯体触媒を構築した。2個のイミダゾリル基、メチル基およびアリル基を有するボレート化合物と末端チオール基を有するシラノールエステル化合物とのカップリング反応により合成したリンカー連結配位子は、アモルファスシリカ表面(BET表面積:273m^2・g^<-1>)の末端シラノール基との縮合により担体表面に固定化した。元素分析により算出した配位子固定化量は約0.16mmol・g^<-1>であった。さらにこのアモルファスシリカ表面に固定した配位子にFe(III)イオンを導入し、その安定性と酸化触媒への適用性について検討した。固定した配位子とほぼ等量のFe(III)が固定されていること、配位子で修飾したシリカ上に担持したFe(III)イオンはアルカリ水溶液や過酸化水素による処理でも溶出しないこと、さらに過酸化水素を酸化剤とするオレフィンのエポキシ化反応に対して温和な条件で触媒作用を示すことが明らかとなった。さらにアニオン性金属酸化物クラスター分子であるポリオキソメタレートの自己組織化能を活用することで、複核バナジウム中心を触媒活性点とする新規固体微粒子触媒を開発した。水酸基により架橋された複核バナジウム中心を有するタングストケイ酸アニオンと、環状アミン化合物を配位子とするニッケル錯体カチオンが静電的相互作用により溶液中で自己組織化して粒子径が80nm程度の均質な微粒子が生成した。この微粒子中においてバナジウム複核中心の構造が保持されているために、この微粒子が過酸化水素を酸化剤とするオレフィンエポキシ化反応に対して固体触媒として機能することが明らかとなった。
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