バクテリア表層化学改変法によるドラッグテリバリーキャリア開発として、乳酸菌表面へのGb3糖鎖(病原性大腸菌O-157の毒素が認識する糖鎖)の提示を検討した。乳酸菌を人工的に化学合成したバクテリア細胞壁の前駆体(反応性のケトン基をもつもの)を加えた培地で培養した。このようにして乳酸菌表面に提示されたケトン基に対して、オキシルアミノ基をもつ化合物を水中で結合させることが出来る。オキシルアミノ基をもつリンカーを介してGb3糖鎖を提示させた乳酸菌を用意することができた。また、Gb3糖鎖をもつモノマーを合成し、これをオキシルアミノ基をもつ開始剤からリビング重合させることにより、線状のポリマーを用意し、乳酸菌表面へ結合させた。これらの乳酸菌について、毒素との結合能について表面プラズモン共鳴法により検討し、糖鎖単独で提示させるよりも糖鎖ポリマーとして提示させた場合のほうが、毒素との相互作用が強くなることが示唆された。この結果は、2004年9月の第53回高分子討論会および2005年2月の高分子北海道支部会において発表した。
|