研究概要 |
希土類化合物ナノチューブが、3種の陰イオン源(Na_2SO_410H_2O、Na_2SO_3、NaH_2PO_2H_2O)の共存下での均一沈殿法にて、それぞれ生成することを確認した。また、各種希土類元素を用いた際のナノチューブの収率や合成の再現性のよしあしもある程度把握することができた。また、NaH_2PO_2H_2Oを陰イオン源として生成するナノチューブが最も耐熱性がよいことがわかった。有機分子を用いたナノ構造体の合成も検討し、ドデシルベンゼンスルホン酸イオンの2分子層を鋳型とした層状構造からなる希土類化合物ナノロッドの合成にも成功した。 集合構造制御の実験は、Na_2SO_410H_2Oを陰イオン源として生成する希土類化合物ナノチューブについて行った。種々の基板上へのナノチューブの析出実験を試みたところ、石英板上やPETフィルム上ではナノチューブ薄膜の生成に成功した。しかし、金属(Cu,Al)板上ではナノチューブ薄膜は生成せず、水溶液中での基板からの微量の金属イオンの溶出がナノチューブ薄膜の形成を阻害することがわかった。また、単分散高分子球状粒子上への希土類化合物ナノチューブの析出実験を現在行っているが、析出(被覆)状態が不均一であり、さらなる合成条件の最適化を要する。 NaOH水溶液中での水熱法によるニオブ化合物の合成では、水熱処理前のNb_2O_5粉末の前処理条件がナノワイヤーの形成に大きな影響を及ぼしていることを見出し、また、反応温度によりナノワイヤーの幅や長さが制御できることを明らかにした。また、ペルオキソチタン酸水溶液をTi源とした同様な水熱反応により、チタン酸ナトリウムのナノワイヤーや、チタン酸ナトリウムのナノワイヤー・ナノシートの集合体からなるマイクロ球状粒子の合成に成功するとともに、その後のプロトン化処理と熱処理によってナノ・マイクロ形状を保持したまま酸化チタンに変換することができた。
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