研究概要 |
今年度は高分子相分離構造制御への磁場効果を詳細に検討するための基礎的研究と次年度に向けた準備を中心に行った.3次元磁場シミュレーションソフト(今年度購入)により種々の高勾配磁場作製のための検討を行った.配向構造のパターン化のためには磁力線の有無が重要である.この場合,高透磁率の材料(ニッケルやパーマロイなど)を基板に用いて比較的弱い磁場強度を用いることが重要であることがわかった,また,相分離モルフォルジー制御に必要な高磁気力を得るためには飽和磁化の大きな材料(純鉄など)を高磁場で用いることが重要であることがわかった.これらの知見を元に今年度はパーマロイに微細加工を施した基板を作製した.今後,この基板を用いて相分離構造の配向制御を検討する予定である. 相分離モルフォルジー制御は磁化率制御が重要であるが純鉄を用いた基板ではわずかな磁化率差でも可能であることが示唆された.ただ大きな磁化率差がある場合の方が効果は大きいので常磁性試薬や常磁性高分子の選択が重要である.今年度は常磁性試薬の検討を行い,マンガンアセチレートが有効であるとの知見を得た.また現在,ユーロピウムやガドリニウムなどを含む常磁性高分子の合成について検討中である.
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