研究概要 |
本研究は、太陽電池用高品質Siバルク多結晶の成長技術を開発することを最終目的として行われた。Siバルク多結晶の高品質化を実現するためには、結晶粒方位、粒サイズ、粒界密度などを制御する必要があり、これらを制御するための結晶成長メカニズムを明らかにしなければならない。本研究では、Siバルク多結晶の融液成長過程の直接観察装置を開発し[1]、本装置を用いた成長実験により、Siバルク多結晶の一方向成長初期過程において、デンドライト結晶を成長させる条件を明らかにした。デンドライト結晶は成長速度が速く、結晶粒の粗大化に有効であるだけでなく、デンドライト結晶上面の方位が限られた方位に限定されることから方位制御にも有効であることが判った[2]。この知見をキャスト法に適用したデンドライト利用キャスト成長法を提案した[2]。キャスト法によるSiバルク多結晶インゴットの一方向成長初期過程に、坩堝底面に沿ってデンドライト結晶を成長させることによって、インゴット下部においてデンドライト組織が形成される。これらのデンドライト結晶上面の方位は(112)面または(110)面に揃っており、このデンドライト組織上にバルク多結晶を成長させることによって、方位および粒サイズが制御された高品質Siバルク多結晶インゴットが得られた。このインゴットを用いて作製した太陽電池の変換効率は、従来のキャスト法で作製したSiバルク多結晶の太陽電池の変換効率を上回ることを実証した[3]。 [1]K. Fujiwara et al. J. Crystal Growth,262(2004),124. [2]K. Fujiwara et al. J. Crystal Growth (in press). [3]K. Fujiwara et al. Acta Materialia (in press).
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