研究概要 |
近年の地球・都市環境問題を解決するには,高効率・低環境負荷燃焼器を開発する必要がある.NOx排出量の低減には,希薄予混合燃焼を採用することが有効な解決策と考えられているが,希薄予混合火炎では火炎の不安定性や振動燃焼等が生じるため,これらを制御することが必要不可欠である.本研究では,詳細化学反応機構を用いた直接数値計算(DNS)及び粒子画像流速計(PIV)と平面レーザ誘起蛍光法(PLIF)を組み合わせたレーザ複合計測を用いて希薄乱流予混合火炎の構造を明らかにし,それらに基づく希薄乱流予混合火炎の保炎手法と振動燃焼制御法を構築することを目的としている.平成17年度は前年度に引き続いて希薄乱流予混合火炎のマイクロ・スケール構造の解明に重点を置いて研究を進めるとともに,振動燃焼及び燃焼騒音の発生機構と希薄乱流予混合火炎のマイクロ・スケール構造との関係を明らかにした.数値的研究では,水素・空気乱流予混合火炎の三次元DNSを異なる当量比及び高レイノルズ数の場合に拡張し,これらのDNS結果から希薄乱流予混合火炎の局所火炎構造に対する当量比及び乱流特性の影響をさらに明確にした.実験的研究では,PIVとPLIFを組み合わせた速度と濃度の同時計測を行い,燃焼騒音特性と局所火炎構造の関係を明らかにした.燃焼騒音の主音源は熱発生率の変動であるので,PLIFにより得られる中間生成物の濃度分布から火炎面の存在確率を算出し,それらと燃焼騒音特性との関係を検討した.二次燃料の噴射により,希薄側の可燃限界を拡張可能であると同時に,燃焼騒音の低減も可能であるが,二次燃料噴射は再循環領域における高温流体の時間・空間的変動及び火炎帯における火炎面の時間・空間的変動を抑制している.これらの時間・空間的変動は燃焼騒音の音源に対応するため,二次燃料噴射により燃焼騒音を抑制可能であることを明らかにした.
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