研究概要 |
テザー宇宙ロボットのキーテクノロジーは,テザー張力下におけるロボットの姿勢制御手法である.本研究では,機構的にテザーの張力変動(挙動)に対応でき,高精度姿勢制御が可能な装置を開発し,その装置に適用できる制御手法を確立することを目的としている. まず,機構解析ソフトウエアを用いたシミュレーション評価を行い,テザー宇宙ロボットの設計を行った.とくに,I.テザー先端のロボット動作によるテザー張力変動,II.ロボット動作に関する応答遅れ,III.ロボット重心位置(関節配置・形状)の影響,を考慮した.I.およびII.に関しては,高精度制御DCモータおよびエンコーダを用い,モータ制御ゲインを実験解析から最適値を選定することにより解決した.III.に関しては,アームとベースから構成されるロボットについて,差動歯車機構を用いてアクチュエータである二個のモータを両方ともベース上に固定する機構を開発,テザー宇宙ロボット姿勢制御に適した関節機構を設計した.この設計をもとにテザー宇宙ロボット実験装置を製作し,落下塔を用いた微笑重力実験を実施し,基本的な動作検証・評価を行った.その結果から,基本動作においては前述のI.II.III.に関して対応できることを検証した. また,宇宙実環境での実用性を検証するために,軌道上シミュレータを開発している.本研究では,テザーを弦要素としてモデル化し,伸展回収時に大変位・大変形を伴う場合の運動解析手法について検討している.張力が微小になる宇宙空間では弦の運動解析に線形有限要素法の適用はできず,テザーの大変位,大変形に対応するモデリングならびに定式化を必要とする.これまでに,面内拘束されたモデル,さらに伸展回収における長さ変化が可能なモデル,を構築した.
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