研究概要 |
微小電極間に量子ドットを集積・発光する方法について,ナノ領域において生じている物理現象を理解するための基礎実験を行った.特に,凝集された量子ドットの発光波長分布の計測に関しては,1ミクロン以下の微小領域から発する微弱光を計測するための顕微計測セットアップを構成することで,詳細なデータを取得することができた.得られた結果から,凝集された量子ドットの発光波長は粒子径に依存して決定されるが,凝集をおこなった場合,粒子径によって定まる発光波長のほかにも,バルク材料としてのCdSeがもつ発光波長も存在することがわかった.電流の通電による加熱が原因で,量子ドットが融解して,より大きい構造へと変化している可能性がある.凝集時の電極間に流れる電流に関するデータも得られていることから,凝集時におきる現象をモデル化することが可能になると考えられる.一方,粒子径が定める波長は,凝集後の計測においても明らかなピークとして存在することから,凝集後も量子効果を失わずに駆動することが可能であることもあわせて示された. また,あわせて,量子ドットを集積し,駆動するための回路の設計を行なった.デジタル回路部分については,研究代表者がすでに作成している液晶ディスプレイ表示用のHDL記述をほぼそのまま応用することが可能であるが,量子ドットを凝集する電極部分に関しては,様々な電極レイアウトを試みる必要がある.本年度においては,マルチチップサービスを利用して,CMOS論理回路と量子ドット凝集のための試作電極とをおなじチップ上に製作した.
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