本研究では、「3次元マイクロ・ナノ光造形法」を用いて、光駆動マイクロ・ナノマシン群を作製し、それらを流体回路に内蔵した「光制御バイオチップ」の開発を目指している。本年度はまず、光制御バイオチップの基幹部品である「光駆動マイクロポンプ」の開発を行った。さらに、バイオチップ内部で生体試料を操作する「光制御マイクロマニピュレータ」を作製し、微粒子の把持実験を行った。 以下に、具体的な成果をまとめる。 (1)光駆動マイクロポンプの開発と駆動実証 2光子マイクロ光造形法を用いて、2つのローター(直径:6μm)を内蔵させたローブ型マイクロポンプを作製した。単一レーザー光の時間分割高速走査によって、2つのローターを同期回転させて、噛み合い駆動させることにより、溶液の輸送に成功した。トレーサー微粒子の移動速度から、サブピコリットル毎分という超微量液体輸送が実現できていることを確認した。 (2)光制御マニピュレータの作製と微粒子把持実験 2光子マイクロ光造形法を用いて、2本あるいは3本のマイクロアームを有する光制御マニピュレータを作製した。実際に、光トラッピングによってマニピュレータを制御し、ガラス微粒子(直径:5μm)の把持、操作に成功した。 (3)ポンプとマニピュレータの協調駆動 バイオチップの試作例として、マイクロ流路内部にマイクロポンプとマニピュレータを内蔵したチップを試作し、駆動実証を行った。
|