研究概要 |
実験システムに対するオブジェクト指向分析を実施し,実験フレームワークの分析,基本設計を中心に研究を実施した.得られた主な結果は次の通りである. 1)正負交番載荷実験,ハイブリッド地震応答実験,リアルタイム実験および分散実験手法について分析し,それらの実験がソフトウェアに求める項目について整理した.その結果,定められた命令値にアクチュエータを制御すること,命令値の計算法(正負交番載荷実験の場合はあらかじめ設定しておいた変位履歴パス,ハイブリッド実験の場合には地震応答解析結果)および実験コントローラとの通信法の3つが重要な項目であることが明らかとなった. 2)ソフトウェア分析結果に基づき,オブジェクト指向分析を実施し,実験手法に関する問題領域より,実験対象物の理論的自由度と実験装置の動きの関係を取り扱うExperimentalSetup,実験装置の制御を取り扱うExperimentalControlおよび実験用コンピュータとの通信を取り扱うExperimentalSiteの3つの抽象オブジェクトを抽出した.また実験対象物の理論的自由度を設定するに当たっては,既存の数値解析用フレームワークであるOpenSeesを利用することとした. 3)上記オブジェクトの関係をUMLを用いて表記し,オブジェクト間の静的および動的関係を定義した. 4)設計された結果を試験的にオブジェクト指向型言語であるC++により実装し,正負交番載荷実験およびハイブリッド地震応答実験を実施した.また京都大学(日本)で免震装置を用いた実験システムを構築し,カリフォルニア大学バークレー校(アメリカ)で数値計算および実験制御システムを構築し,TCP/IPによる通信により,分散ハイブリッド地震応答実験の試験実験を実施した.その結果,日米間のTCP/IPによる通信はハイブリッド実験を実施するに十分な速度であることが実証された.
|