研究課題
昨年度の結果に基づき、Ti-39at%Al単結晶を不規則α単相温度から急冷後α_2+γ二相温度で等温焼鈍することで、γ板・APD複合ナノ組織を導入し、その力学特性を調べた。γプレート間隔が約150nmで等しく、かつAPDサイズが、600nm、980nm、1350nmと異なる3種類の結晶に対し、α_2相中の主すべり系である(10-10)[1-210]柱面すべり系が優先的に活動する荷重軸で圧縮試験を行ったところ、これら3種類の結晶の変形挙動の間に顕著な差は認められなかったが、変形後の転位組織観察により、転位はAPP界面に拘束されており、ラメラ組織中においても転位の運動がAPD組織の影響を受けることが明らかとなった。このことは、組織制御により、単純な塑性変形挙動は変えずに、繰り返し変形挙動を変化させられることを示唆しており、APD・γ板複合ナノ組織制御の有用性が期待される。また、よりAPDとγ板の組織複合化の効果を引き出すには、より微細なAPDをγ-プレートと共存させる必要があることも示された。そのための熱処理条件を探索するため、熱処理条件と得られる組織との相関をさらに詳細に調べるとともに、熱力学データ、拡散データを用いて、APD成長速度とγプレート形成速度についてAPD成長理論ならびにγプレート析出理論に基づいて検討した。その結果、熱処理条件をさらに変化させるだけでは、より微細なAPD組織をγプレートと共存させること不可能であることが判明した。そのため、単相化焼き入れ後に加工を加えること等による、γプレートの優先核生成サイトを導入することの必要性が生じた。現在、これまでに得られているγ板・APD複合ナノ組織を有する結晶の圧延ならびに、繰り返し変形挙動、制振性の評価を進めるとともに、単相化焼き入れ後の加工の影響についても調査を進めている。
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日本金属学会春期大会講演概要集 (印刷中)
Integration of Theoretical, Computational and Experimental Studies of Interfaces and Microstructural Evolution, in MS & T 2005, Pittsburgh
ページ: 39-46
高温学会誌 31・6(講演概要)
ページ: 14
Philosophical Magazine (in press)