平成16年度までの研究により、SiO2粉末をペレット状に成型した試料の還元において、SiO2粉末にSi粉末(5wt%もしくは10wt%)を添加することで還元速度が向上することが明らかにされた。このような結果を踏まえ、平成17年度は、より一層の高速還元とプロセスの連続化を目指し、SiO2粉末をそのまま溶融塩中へ懸濁させて電解する「SiO2懸濁電解」を試みた。850℃の溶融CaCl2中で、作用極にSi板を用い、2mol%の高純度SiO2粉末を浴に添加して、電解浴をArガスバブリングにより流動させながらサイクリックボルタンメトリーを行った結果、0.5V(vs. Ca2+/Ca)から1.25Vの電位領域においてSiO2の電解還元が可能であることが示唆された。そこで、この浴中においてArガスバブリングを行いながら、作用極にSi板を用いて1.0Vにおいて60分間の定電位電解を行った。SEM観察を行ったところ、Siの生成が確認されたがその析出量が少なく、Arガスバブリングにより基板Siから剥離したことが示唆された。そこで、10mol%のSiO2粉末を添加し、Arガスバブリングを行わない静止浴中で、1.0Vにおいて60分間の定電位電解を行った。その結果、Si基板上に還元生成Siが多く付着していることが確認された。生成したSiをSEM観察したところ、ランダムな方向に成長した柱状Siが主に見られたが、部分的に緻密にSiが生成していることも確認された。今後、SiO2の添加量や電解電位などの条件を変化させれば、より緻密なSiを得られる可能性がある。
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