研究概要 |
世界的な人口増そして地球温暖化が漸次進行する昨今,作物生産への複合的土壌環境ストレス(乾燥ストレス,緊密土壌ストレス,塩ストレス)の影響が危惧されている.本研究は,これらストレスに対する作物根反応性に関する基礎的知見を得る目的で行っている.本研究では今年度を,人工的な複合的土壌ストレス環境の構築および機器分析のための準備期間とし,以下の項目について遂行している. 1.複合型ストレス負荷育成装置として,透明アクリル樹脂の組み合わせにより大型の作物育成ポットを試験的に作製した.作物はコムギ実生を用い,根発展の様子を写真撮影しつつ,希釈したD_2O溶液による灌水を行い,ポット側面に配置したポーラスより逐次採水し,水動態を調査するためのサンプルを随時収集している.また同時に,土壌水分センサーを埋め込み,ポット内の水分動向をモニターしている. 2.根発展の様子を撮影した画像イメージについて,申請備品の根画像解析システムにより解析後,実際の根長・根径と比較し,解析条件について調整している. 3.申請備品のエレメントアナライザを用い,植物粉体サンプルおよび土壌抽出溶液中に存在する微量要素(主に塩類要素)について解析する予定だが,現在は,標準サンプルを用い機器調整の段階にある. 4.前述のポットより抽出した溶液のD_2O濃度を,申請備品のフーリエ変換赤外分光光度計(D_2O定量用に特別仕様)で測定するために,現在,ポットから抽出したD_2O濃度と潅水したD_2O濃度との関連で調整を行っている. 5.複数作物間での地下環境条件下コミュニケーションについても調査対象としており,本システムにおける混植育成条件についても検討,構築途上である.
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