研究概要 |
本年度は以下の研究を実施した。 餌木に挟み込んだPVDFフィルムによるシロアリ食害AEの検出実験 実験室において,シロアリの職蟻が餌木を摂食した際に発生する木材の微小破壊に由来するAE波を検出するために,フィルム状のPVDFをAEセンサとして餌木に挟み込み,食害検出を行った.その結果,PVDFフィルムは従来AEセンサとして使用されてきたPZT素子よりもPVDFフィルムは感度は低いものの,シロアリの餌木の食害によって発生するAEを検出することは可能であった.次年度では実際に野外にモニタリング用のステーションを設置し,2本の餌木に挟んだPVDFフィルムによるステーション内へのシロアリの侵入をモニタリングする研究へと進める. ステーション内でのシロアリの代謝ガスの検出実験 実験室において,セラミックガスセンサ(水素,メタン,ニオイ選択性)を用いて,シロアリから発生する代謝ガスの検出を行った.3種類のセラミックガスセンサの中で,特に水素選択性センサは,シロアリが存在する条件でのみ,水素を検出し,その水素濃度はシロアリの頭数と高い相関が見られた.さらにシロアリが木材を摂食した際に,水素濃度は高まり,木材摂食量と水素濃度との間にも高い相関が見られた.メタンに関しては,センサの感度が低いこと,ニオイ成分に関しては,木材から発生するニオイ成分等も検出したため,水素センサに比べ検出能力が低かった.次年度では,野外に設置したモニタリングステーション内のガスをサンプリングし,各センサで検出することによって,シロアリの侵入をモニタリングする研究を行う.
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