本研究により申請者はニワトリの心臓のcDNAライブラリーからクローニングされたSema6Dが、心臓発生に関与するとともに、脾臓などのリンパ組織や骨組織にも発現していることを見出した。さらにPlexin-A1欠損マウスの作成とその解析からPlexin-A1欠損下では樹状細胞の関与する生体内での抗原特異的T細胞の産生が障害されていること、また単純レントゲン撮影及びマイクロCTを用いたスクリーニングによりPlexin-A1欠損マウスが大理石骨病様の所見を呈するとの知見を得た。また申請者はPlexin-A1がどのような分子メカニズムによってSema6Dの作用を担っているのかを探索する過程で、樹状細胞及び破骨細胞での発現が知られているTrem-2(triggering receptor expressed on myeloid cells 2)と呼ばれる膜タンパクにPlexin-A1が会合すること、更にTrem-2の存在下で、ITAM(immunoreceptor tyrosine-based activation motif)を有するアダプター分子DAP12がplexin-A1と会合することも見出し、DAP12欠損マウスや、DAP12及びTrem-2の遺伝子に変異を有する遺伝病であるNasu-Hakola病はPlexin-A1欠損マウスで観察されている上記の表現型と類似していることからもこの知見が裏付けられた。
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