検出器の小型化のために、420nm発光のシンチレータと490nm発光のシンチレータを重ねて配置し、1本の光ファイバでシグナルを伝送後、分光フィルタにてシグナルを分離するシステムを検討し、それぞれの光量の約80%を確保して分離することに成功した。残り20%はクロストークとして数え誤差となることが懸念されたが、クロストークによるしきい値を超えるものの割合は非常に小さいため、クロストークによる測定への影響は無視できることがわかった。 一方、治療中のホウ素濃度変化を測定するため、ガンマ線テレスコープ法を併用したシステムの構築を考案したが、照射室外からの測定では、照射室内に遮蔽のために使用されているB_4C壁からの478keVのガンマ線が測定に大きな影響を与えることから、室内にコリメータ検出器システムを配置することを考えた。当初予定していたタングステンコリメータでは、熱中性子との反応により480keVのガンマ線を放出するため、シグナルである478keVとの弁別が困難であることから、鉛コリメータへと設計を変更した。 また、治療中リアルタイム3次元線量評価システム構築のために、データ解析ビジュアライゼーションソフトであるIDL(Interactive Data Language)を用いて、SOF検出器によるリアルタイム熱中性子束データを取り込むシステムを構築した。また、治療計画プログラムJCDSの出力データを取り込み、IDL上で表示させるシステムを構築した。今後、これらのシステムを統合し、リアルタイム3次元線量評価システムへと発展させる。
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