研究概要 |
AOP2の発現の加齢による変化を検討した。Balb-Cマウスの胎生14-20日、及び0-12ヶ月の水晶体におけるAOP2 mRNAレベル、及びタンパクレベルでの発現の変化を定量RT-PCR法およびウエスタンブロット法,in situhybridization法にて検討した。AOP2の発現は、加齢とともに6ヶ月目までは増加したが、それ以降減少した。 AOP2は、Peroxiredoxin(Prdx)ファミリーの6に属するが、Prdx1-6の眼組織における発現を定量RT-PCR法にて検討した結果、ヒト水晶体およびラット網膜ではPrdx5と6の発現が有意に高かった。 HA-AOP2とHA-TAT-AOP2融合蛋白の抗酸化機能を検討した。 培養ヒトSV-40不死化LECまたはAOP2ノックアウトマウス(AOP2-/-)より分離したLECを用い、H_2O_2添加またはUV照射による酸化的ストレスを与え、HA-AOP2とHA-TAT-AOP2を投与し、細胞のアポプトーシスの程度をTUNELアッセイと細胞増殖能アッセイ(MTS)にて観察・定量し、AOP2添加によりH_2O_2およびUV照射により誘導されるアポプトーシスと細胞死の抑制効果を確認した。また、SCR遺伝性白内障ラットにHA-TAT-AOP2融合蛋白をテノン嚢下注射し、白内障発症の遅延効果を確認した。さらにラット水晶体の器官培養にてH_2O_2およびUV照射により誘導される白内障に対し、HA-TAT-AOP2融合蛋白含有培地において白内障抑制効果が明らかに観察された。 これらの結果より、AOP2が水晶体においてPrdxファミリーの中でも優位に発現し、白内障抑制効果が期待できる抗酸化蛋白であることが確認された。
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