研究課題
線形系逆問題の定式化には、観測や出力の空間で最適性を定義するものと推定対象が属する空間で最適性の定義を行なうものの二種類が存在する。本研究では、上記二種類の定式化及びその解の関係について理論的な解析を行なうとともに、当該解析結果を具体的な問題に適用した。以下に、その概要を示す。1.二種類の定式化及びその解が、結果として同値になるための必要十分条件を明らかにした。この成果により、旧来、数理的な厳密性の欠如が見落とされたまま用いられてきた前者の定式化について、理論的妥当性が保証される問題設定であるか否かを理論的に切り分けることが可能となった。2.カーネル関数を用いた学習問題は、無限次元を許容する関数空間(再生核ヒルベルト空間)から出力空間(例えば、パターン認識問題においてはラベル空間)への線形写像の逆問題として定式化することが可能である。上記解析結果を拠り所に、多くの問題に対して理論的な妥当性を保証するためには、再生核ヒルベルト空間として、より広いものを採用する必要があるという知見を得た。また、実際にそのような性質を有する再生核ヒルベルト空間の構成法を与えた。3.上記解析結果より、二種の定式化が同値となるための鍵を握るのは空間の計量であるという知見、及び、当該計量を与える行列が特異である場合に、逆問題を含む線形代数を拠り所とする多くの手法が破綻するとの知見を得た。このことを踏まえ、特異な行列の存在により手法が破綻する例である信号到来方向推定法における部分空間の特定問題において、真固有値・真固有ベクトルの概念を用いて特異性を積極的に記述することにより、全ての問題を統一的に扱い得る枠組を与えた。
すべて 2005 2004
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Proceedings of the 2005 IEEE International Conference on Acoustics, Speech, and Signal Processing (発表予定)
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