平成18年には、前年度の継続で、単項二階述語論理(MSO)にもとついたXML処理言語の設計と実装も進めた。前年で、MSOの極めて高い表現力の高い問い合わせ能力を犠牲にすることなく、高効率な評価アルゴリズムを開発したが、今年度は、その定式化と正当性の証明を完成し、XMLのためのプログラミング言語研究会(PLAN-X'07・査読付き・国際)にて発表した。 第二に、同じく前年度の継続でもある「双方向XML変換」を行う言語の設計・実装も進めた。前年度で、言語設計とアルゴリズムの開発を行ったが、今年度は、その定式化と正当性の証明を完成し、関数型言語の国際会議(ICFP'06・査読付き)にて発表した。さらに、この言語を、XMLの属性に関して拡張を行った。この拡張では、報告者自身が2003年に発表した「要素属性制約」を用い、高速なアルゴリズムを実現した。 第三に、あらたな研究として、「ツリートランスデューサ」と呼ばれる抽象的なツリー変換モデルを用い、厳密なXML型検査の課題に取り組んだ。ここでは、これまでの枠組みでは不可能であった、厳密な解析を、「逆推論」と呼ばれる技法を用いて実現する。この方法自体は、古くから理論畑で知られてはいたものの、実際的なアルゴリズムを開発する試みはなかった。この研究では、報告者らが2000年に発表した「トップダウン法」を応用することにより、実際的なアルゴリズムを構築することに成功した。現在国際会議への投稿を準備中である。
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