研究概要 |
本研究の目的は,論理回路の素子数や段数の最適性が証明できる具体的関数を人工的に作成し,その関数を論理設計CADなどの自動設計システムの評価に役立てることである.平成16年度は,階層定理を理論的に証明するという目的に対し,次の二つの結果を得た. 1.対数時間一様論理回路族の計算能力は,段数を1+ε倍,素子数を1+ε乗に増やせば,真に計算能力が上昇するという階層定理を得た.これは,段数と素子数の最適性が証明できる関数の存在性を意味する.本研究成果は,ロシアで開催された国際シンポジウム(The 4th International Conference on Machines, Computations and Universality)にて公表した. 2.並列計算機の二つの代表的モデルは,交代性チューリング機械と並列ランダムアクセス機械である.これらのモデルは,一様論理回路族と計算能力の等価性が示されており,回路計算にかかわりの深い並列計算機モデルである.交代性チューリング機械は,計算時間と領域量をそれぞれ9+ε倍,4+ε倍すれば計算能力が真に上昇すること,および,並列ランダムアクセス機械は,計算時間とプロセッサ数をそれぞれ1+ε倍,1+ε乗に増やせば,計算能力が真に上昇することを示した.本研究成果は,国際シンポジウム(The 15th International Symposium on Fundamentals of Computation Theory)に投稿中である.
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