研究概要 |
2004年度の第13回日本数式処理学会大会ならびに国際会議ATCM2004(The Ninth Asian Technology Conference in Mathematics)にて発表・採択された論文では,係数部に誤差を含む一変数多項式を近傍から構成される集合と考えて演算する方法の実装を提案した.本方式での多項式は,代表元として取り扱われる一変数多項式から,指定されたノルムにおいて,指定された誤差の大きさの範囲に存在する,指定された次数の全ての多項式から構成される集合として表現される.本方式の実装により,The nearest singular polynomial(最近特異多項式)の本方式での実装方法,係数を使わずに誤差を測る方法における本方式での実装方法など,一変数多項式に関する実装における多くの研究すべき点が判明した(近似GCDについては,本来の定義がそのまま利用可能).当初計画では,SNAPパッケージの公開は来年度からであるが,試験的に,基本演算と一部の近似代数処理を実装したパッケージを,今年度既にバージョン0.1として公開している(一変数多項式に関しての未解決問題が想定よりも多かったため,逆にサブセットとしての公開を早めた).多変数多項式に関しては,厳密な代数処理で重要なだけでなく,近似代数処理への応用上も重要と考えられるComprehensive Groebner Basis関連の演算を行うパッケージの初期版を完成させており,現在SNAPパッケージへの統合を作業中である.多変数多項式に対する,本方式での絶対既約性判定法については,実装は済んでいるがパッケージとしての集約とSNAPパッケージへの統合が済んでいない.
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