我々の既存研究により、あるクラスの組み合わせ最適化問題に対する、実用に耐える効率のよい線形時間アルゴリズムの導出法が得られていたが、これはpolynomialデータ型というクラスのデータ型を対象としていた。しかし、このクラスには、各頂点に任意個の子を持つことのできる一般木は含まれておらず、一旦二分木等に変換してアルゴリズムを導出する必要があり、この過程は、一般には現状においては人間が関与しなければならない。我々の既存研究において、データベースの最適区間問題に対する効率の良いアルゴリズムの機械的導出がなされていたが、XMLデータベース等、一般の木構造を持つものに拡張しようとすると、人間の関与が必要とされていた。本研究の目的は、一般木を含む、regularデータ型というクラスのデータ型に対する機械的アルゴリズム導出法を考案することであるが、本年度においては、その問題の部分的な解となる、XMLの木構造に対する問い合わせ言語およびその評価法を提案した。この言語においては、木の分解法を限定することにより、機械的導出が行えるようになり、問い合わせの評価が機械的に行われる。この問い合わせ言語は、得たい頂点集合の満たすべき性質と、優先度を指定するものであり、宣言的である。また、得られる評価法は係数の小さな線形時間アルゴリズムである。この問い合わせ言語の実現を行うことは興味深い。また、この結果等に関して、イギリスのオックスフォード大学のRichard Birdを訪問し、討論を行った。
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