研究概要 |
本研究は,オブジェクト指向ソフトウェアを対象とし,そのバージョンアップに伴う変更量に関する予測判別モデルの提案と分析を行った.ここでいう予測判別とは,ソフトウェアのバージョンアップにおいて,その変更量が大きいものとなるか否かを事前に予測することを意味する.予測の材料としては,定量的尺度(メトリクス)によって測定されたソフトウェア品質特性データを使用した. まず,プログラム中での文の数(メトリクスStmtsによる測定値)を用いて,変更量が特に大きくなるものとそうでないものとを予測判別するモデルを考案し,実験によりその有効性を示した.この成果は平成17年6月に発行の電子情報通信学会英文論文誌Dに掲載された.次に,品質管理手法の一種であるマハラノビス-タグチ法を利用して予測判別モデルの改良を行った.具体的には,変更量が特に大きくなるソフトウェアの特徴をメトリクスによって見つけ出そうというものである.過去のデータから良質(変更量の小さい)ソフトウェアの特徴を見出し,未検査ソフトウェアが良質ソフトウェアとどれだけかけ離れた特徴を有しているかを評価することで変更量が大きくなりそうなものを予測するというモデルである.実験によりこの提案モデルの有効性を確認し,その成果を国内の研究集会で発表して高い評価を得た.その後,論文にまとめ,学術雑誌(電子情報通信学会英文論文誌D)へ投稿し,採録された.同論文は平成18年4月に掲載予定である.
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