研究課題
本研究は、AND-EXOR論理式(以下ESOP)の最小化アルゴリズムを開発して、ESOP回路及びf-C-NOT回路なる量子論理回路の厳密な最小形を求めようとするものである。これは、f-C-NOT回路の段数最小化問題が、ESOPの積項数最小化問題に帰着できるという性質の応用である。1.当初のESOP最小化プログラムでは、計算の高速化のために、計算機の主記憶メモリに、すべての4変数関数の最小解を持たせていたが、本研究では、5変数関数の代表関数の最小解を持たせるように改良した。これにより、計算がさらに高速化された。2.拡張積項というデータ構造とそれに基づいたESOP簡単化アルゴリズムを開発した。このアルゴリズムは、ヒューリスティックな手法であるため、結果の最小性を保証しないが、積項の少ないESOPを実用時間内に計算する。これにより、現在、厳密な最小解が求められない大規模な回路についても、最小解の上界、すなわち最小解の規模の目安が得られた。3.最小解の計算に時間がかかる原因は、良い解を探索するための探索空間が広いことにある。それを並列処理により高速化するためのシミュレーション実験を行った。その結果、探索空間には元々偏りがあることや、最小性を保ちつつ動的に探索を打ち切る機能などにより、探索空間が均等に分割されないことが並列計算を行う際の問題点になりうるという知見を得た。4.積項数だけでなく、リテラル数やテスト容易性といった異なる評価関数を用いたESOP回路を求める手法を開発した。ベンチマーク回路を用いた実験により、その有効性を示した。
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平成16年度第3回情報処理学会東北支部研究会 (資料番号)
ページ: 04-3-22
ページ: 04-3-23
IEICE Trans.Information and Systems E87-D,5
ページ: 1224-1222