研究課題
本研究では、代数マルチグリッド法(AMG法)と並列処理技術を用いることにより高速な連立一次方程式の求解法を確立することを目的とし、以下のような研究を行った。1 AMG法の並列化において特に困難があるスムーザ部の並列処理を代数的マルチカラーオーダリング法により実現し、有限要素解析による実アプリケーション上でその性能を確認した。本研究成果はIEEE Transaction on Magneticsに論文発表されている。2 AMG法におけるロバストなスムーザとして注目されるILU分解スムーザの並列処理について検討を行い、適切なスムーザの並列処理手法の選択を可能にする評価指標の確立を行った。本指標を差分解析および有限要素解析による実アプリケーション上で評価し、良好な結果を得た。本研究成果はSIAMJournal on Scientific Computing及び情報処理学会論文誌に論文発表されている。3 京都大学内の2つのキャンパス(吉田キャンパス、桂キャンパス)にまたがる計算グリッドを構築し、計算グリッド上で有効なAMG法について検討を行った。上記の2つのキャンパスは約15キロ離れており、吉田キャンパス設置のスーパーコンピュータ及びPCと桂キャンパス設置のPCをグリッドミドルウェアGlobus2.4により連携した。AMG法を用いた有限要素解析プログラムを上記の環境で実行し、計算グリッドのような通信性能が低い並列処理環境ではより簡便なスムーザを用いるほうが有効性が高いことが分かった。
すべて 2006 2005
すべて 雑誌論文 (3件)
情報処理学会論文誌:コンピューティングシステム 47巻,SIG3(ACS13)号
ページ: 40-48
IEEE Transaction on Magnetics Vol.41-5
ページ: 1660-1663
SIAM Journal on Scientific Computing Vol.26,No.4
ページ: 1234-1260