研究概要 |
本研究の目的は,モバイルアドホック網に適したピア・ツー・ピア技術を開発することにある.そこで本年度は,動的ハイブリッド方式の提案と評価に取り組んだ.動的ハイブリッド方式では,ピア・ツー・ピア情報検索メカニズムの一種であるハイブリット方式をモバイルアドホック環境に適用することで,検索に関わるオーバヘッドの削減をねらっている.評価に関しては,検索のオーバヘッドの見積もりをおこなった.具体的には,ノード数,ファイル生成レート,検索要求レート,検索ヒットレートが検索オーバヘッドに及ぼす影響を定式化することで,最適インデックスサーバ数を導出した.キャッシュ方式には,内容一致方式(Consistent Caching),ローカルキャッシュ方式(Local Caching)を,また検索要求方式には,経歴検索方式(History Query),最新検索方式(Latest Query)を仮定した. この結果から,キャッシュ方式が内容一致方式の場合,最適なインデックスサーバ数はノード数に比例し,ローカルキャッシュ方式では,ノード数の2/3乗に比例することが明らかになった.また,インデックスサーバが最適数配置されている環境では,パラメータρ(=インデックス生成レート/検索要求レート)が小さい場合,キャッシュ方式として内容一致方式がローカルキャッシュ方式より検索オーバヘッドを小さくでき,また逆に大きい場合,キャッシュ方式としてローカルキャッシュ方式が内容一致方式より検索オーバヘッドを小さくできることが明らかになった.
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