研究概要 |
オンラインの手書き楽譜記号認識の高精度化を目指して、次の手法を考案した。(1)筆記ストローク(「ストローク」とはペンで筆記される1画を意味する)からフリーマンコード化によって時系列データを抽出し、そのデータに基づき、DPマッチングを用いてストローク識別を行う。(2)筆記ストロークの画像データから方向性パターン特徴を抽出し、SVM(Support Vector Machine)を用いてストローク識別を行う。(3)上記2つの結果を統合し、さらにSVMを用いて筆記ストローク識別を行う。これらの手法を実際の手書き楽譜記号7,666ストロークに適用した結果、97.60%の認識率を得た。これは、手法(1)、(2)を単独で用いるよりも高精度の認識率である。関連論文は、国際会議ICPR(International Conference on Pattern Recognition)に採択され、成果発表を行った。 次に、HMM(Hidden Markov Model)を用いたオンライン手書き記号認識の高速化とシステムの使い勝手向上を目指して次の手法を考案した。(1)筆記ストークの長さに基づき、計算対象となるHMMを限定する。(2)通常のHMMの確率計算は、ストロークの筆記後にまとめて行われるが、本手法では書いている間に計算を行い、処理の分散化を図る。これらの手法を実際の手書き楽譜記号6,999ストロークに適用した結果、通常のHMMと比較し、認識率を落とすことなく、計算時間を73%に抑えることができることを示した。関連論文は、国際ワークショップIWFHR(International Workshop on Frontiers in Handwriting Recognition)に採択され、成果発表を行った。
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