研究概要 |
本研究は,個人の生活や業務に関する記録であるライフログを有効的な活用の支援を目的に,インターネット上で個人が管理するライフログを安全に相互参照可能とし,統合的なデータ操作と流通を実現するシステムに関する基礎的な技術を開発することを目指す. 3年間の研究の初年度である本年度は,ライフログ管理システムに期待される機能の中でも特に重要なライフログ検索に対象を絞り,単一個人のライフログを検索するための枠組みを明確化することを目標に研究を実施した.まず,従来のマルチメディアデータ検索とライフログ検索との比較・考察を行い,ライフログは同一の活動が複数のメディアで表現される特徴を有し,コンテクストに基づく検索及び不確実性を有する根拠の統合的な基づく検索が重要であることを明らかにした.そこで得られた知見に基づいて,単一個人のライフログを管理するための検索モデルを開発した. 本検索モデルはベイジアンネットワークを利用して上記の2種類のライフログの特徴的な検索をサポートする.検索に必要なデータと概念はライフログネットワークとして構造化される.ライフログネットワークには,メディアネットワークとクエリネットワークが部分ネットワークとして含まれている.メディアネットワークはライフログを構成するメディア間の相互関係や意味内容を表現し,システムによって恒常的に保持される.クエリネットワークは利用者が与えた検索要求の表現であり,利用者が与えた検索要求に基づいて動的に生成される.検索時にはメディアネットワーク中のメディアノードとクエリネットワーク中のクエリノードの依存関係を計算することによって,検索結果をランク付けする. 本年度開発モデルは単一個人のライフログを対象としたものである.次年度から,複数人のライフログに適用可能とする拡張を行う.
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