手術シミュレーションをはじめとする実用的アプリケーションにおいては、弾性物体モデルは弾性変形のみでなく、切断等の操作に応じて形状が分解可能なものでなければならない。我々の提案する可変解像度モデルでは、弾性要素を物体の表面から中心に向けて徐々に大きくなるように配置することにより弾性運動の高速処理を可能としている。本モデルでは、外力が直接作用するため変形が比較的大きく、かつ可視部分である物体表面には最小サイズの要素を配置している。これが物体の切断によりモデル形状の分解が生じると切断面において新たな表面が生成されるため、それ応じて要素の配置を動的に再構築する必要がある。そこで本研究では可変解像度モデルにおいて、モデル形状の分解に応じた要素の動的再配置機能を実現した。動的再構築を実現するための具体的なアルゴリズムを考案し、C++言語のプログラムにより実装を行った。そのうち今年度の研究では特に3次元モデルのプログラムを実現した。また、実装したプログラムを用いて弾性物体の物理計算における高速化のパフォーマンスについて調査も行った。本研究の成果は国際会議CyberWorlds2004で採択され、その場で研究発表を行った。本モデルは任意のボクセル形状を入力としており、切断操作に対応しているので、汎用の弾性物体モデルとして、医療やスポーツ等の分野における仮想現実感システムの開発に応用されることが十分期待できる。
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