研究概要 |
本研究では、数値シミュレーションと高速ネットワーク・VR技術を有機的に結合し、統合的な数値シミュレーション環境を構築することを目的とする。 本年度は主にリアルタイムシミュレーション環境の基盤構築を行った。現有の可視化用コンピュータ(SGI Onxy2→Onyx4)と計算サーバ(Intel Itanium2サーバ)をネットワーク(LAN)で接続し,1対1のコミュニケーション環境の構築を進めた. 数値シミュレーションとしては両親媒性分子の分子動力学シミュレーションを題材とした。シミュレーションモデルは,疎水基,親水基,水の全粒子数(全分子数)2000個から構成されており,その比率(濃度)と環境温度を変化させた場合の最終的な構造との関係を調べることを目的としている.シミュレーションを実施するにあたり,本研究の研究課題であるVRとシミュレーションを結合したリアルタイムシミュレーション環境を構築した.具体的には,VR空間内で上記2つのパラメータを自由に変更することを可能とした.ユーザーはVR空間内で,3次元オブジェクトを操作し,パラメータを変更する.変更されたパラメータは直ちに計算用コンピュータに送信され,計算側コンピュータでは,受け取ったパラメータを初期条件として,シミュレーションをスタートさせるとともに,計算結果を可視化側にリアルタイムで送り返すというシステムを構築した.ユーザーは送り返された結果を見て,さらにパラメータを変更するというサイクルを回すことで,所望の結果が得られるまで,計算を繰り返す.本研究により,VR空間にいながら計算用コンピュータを意識することなく,インタラクティブに数値シミュレーションを実行可能とした.
|