研究概要 |
本研究ではデータマイニングプロセスにおけるデータ前処理(データ選択,欠損値処理,形式変換)に対象を絞り,ユーザ(対象領域の専門家)がもつ対象領域に関する経験的知識をシステムの利用過程から自動的,かつ漸進的に獲得・洗練化し再利用するメカニズムを実現することを目的としている.そのために,ユーザの行動パターン解析に基づきシステムの操作性を向上させる個人適応技術を利用することを想定しており,本年度ではそのプロトタイプシステムとしてユーザの操作履歴から特徴的な行動パターンを抽出するシステムについて開発・検討を行った.具体的には,当初計画に基づき,操作履歴獲得モジュール,知識獲得・洗練化モジュール,ユーザ支援モジュール,対話型インタフェースについて検討した.知識獲得モジュールとしては,各操作をノードとし,その系列をグラフで表現することでグラフ構造から特徴的なパターンを抽出するグラフマイニング手法を利用した.また,データの既知の属性を組合わせ,より予測精度の高い規則を生成し得る新属性を自動的に合成する手法を提案した.これらにより,ユーザのもつ経験的知識を反映すると想定される行動パターン・規則性の抽出が可能となる.一方,ユーザ支援モジュール,および対話型インタフェースに関しては基本的な機能は備えつつも,現状では効果的に機能しているとはいえず,残りの次年度でシステムの評価とともにさらに改善していく必要がある.
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