研究概要 |
本研究は,時系列的に変化する空間(位置)データからの知識獲得法を確立するとともに,データマイニング技術のスポーツの分野への応用例を示し,スポーツデータマイニングの先駆けとすることを目的としている。 研究初年度である本年度は,開発用ワークステーションを導入し,サッカー試合記録データの基礎的性質に関する分析を行った。まず,IN GOALシリーズを自動的に選別してそれぞれのGOALに至るパス経路を可視化するツールを開発し,試合記録データの時空間データとしての不均質性等について確認した。次に,これまで開発を進めてきた1次元時系列の多重スケール比較法について,2次元開図形への適用に必要となる改良と相違度の拡張を実施し,実データに適用して基礎的類型化実験を行った。実験に用いた64試合のデータでは,クラスタ内の均一性に欠けるながらも,ステップ数が多くループを含むパス系列のクラスタ,クロスパスを含む系列のクラスタ,数ステップでゴールに至る系列のクラスタなど,パス経路の特徴を反映したクラスタを生成できたため,その成果をヨーロッパにおける知識発見の中心的国際会議であるPKDD-2004に投稿したところ,査読過程においてスポーツデータマイニングの先駆的実践例として評価を得るとともに,会議においても多くの関心とコメントを得た。また,計算量の増加が予想されたため,ベースとなる多重スケール比較法を既存のPCクラスタへ実装する可能性についても検討を行い,その成果をSAINT-2005において発表した。
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