研究概要 |
今年度は,汎用性を持った作業時間割り当て問題を定式化し,制約・要望の記述法を確立,有効性を確認した.これまで研究室内レベルで行ってきた多様な制約条件や要望を満たしながら作業者と作業,時間の最適な対応表を作成する問題について,細かな制約条件や要望の違いを吸収できるシステムの理論的基礎を構築した.具体的にはいくつかの異なる作業時間割り当て問題を個別に扱うシステムの実装を通して得た経験を踏まえ,C.H.PapadimitriouらのMAX SNP最適化問題記法などを参考に,制約・要望の記述法を定義した.多様な制約条件や要望を満たしながら,作業者と作業,時間の最適な対応表を作成する問題として,細かな制約条件や要望の違いを吸収できる,非常にアプリケーションが広い一般化した汎用最適作業時間割り当て問題として定式化した.その結果,解法・設計支援システムの入力データ,制約条件や要望の整理など問題定式化の部分を独立させることができた. また,作業スケジュールを時系列でみた場合のルール評価を高速化するため,一次元幾何点列の近似パタン照合アルゴリズムを開発した.これは検索対象のデータ列長に対して線形時間で処理完了する高速なアルゴリズムである.さらに,大量の入力データを様々な入力形態で行えるよう,XMLによるテキストフォーマットとして扱うことを想定し,データの備蓄や処理,編集に適したデータ圧縮の手法の開発を行った.大量のデータをリアルタイムで圧縮/伸張処理するのに適した作業領域量の少ない文法圧縮方を用いた結果,高速で実装メモリが少なくてすむテキスト圧縮手法を得ることができた. これら開発したアルゴリズムの実装および計算機実験は,設備備品費で購入したワークステーションによっておこなった.またその過程で,作業割り当て問題の実システムを稼働させるのに十分な処理速度を持った計算機であることを確認した.
|