研究概要 |
シミュレーションシステムの構築にあたり,大規模な災害シミュレータを設計・実装しているロボカップレスキュープロジェクトのシミュレーションシステムを参考に設計・構築を行った.ロボカップレスキューのシミュレーションシステムは交通流,災害状況,地図データなどを組み替えることで異なる環境のシミュレーションを容易におこなうことができるため,同様の機能をもつシミュレータを設計した.本シミュレータを交通流,乗客の要求の発生分布,地図データを組み替えることができる形で設計・実装することで,さまざまな環境に対応した汎用性の高いものとすることができた.特に本シミュレータは国土地理院の数値地図25000に対応しているため,地図が公開されている地域すべてでデマンドバスシステムを評価するシミュレーションが可能である. さらに,乗客の要求の満足度を計る指標について検討した.デマンドバスシステムを利用する乗客は目的地への到着時刻を優先することが想像できるため,乗客の希望乗車時刻よりも希望降車時刻を優先する形で満足度を制定した.そして,各バスの移動距離と乗車数からバスの稼働率を求めることで採算性を評価するための指標を決定した.実装したシミュレータを用いてこれらの指標のもとで複数のアルゴリズムの評価を行った.その結果から地域によって有効なアルゴリズムが異なることが判明し,本システムがデマンドバスシステムを評価するのに役立つことが示せた.
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