研究概要 |
本研究の目的は,"遺伝的アルゴリズム(GA)によるニューラルネットワーク(NN)の学習"と"誤差逆伝播法(BP)によるNNの学習"を併用できる専用アーキテクチャを開発することである。本年度の研究内容と成果は以下のとおりである。 1)GAエンジン設計のための実用的なアプリケーションでの検討 具体的には,まず,LSIレイアウト(セル配置問題)に適用し,市販のEDAツールとの比較を行った。0.18ミクロン以下のデシミクロンオーダーLSIのセル配置では,従来からの面積のみの評価では十分ではなく,遅延,電力,シグナルインテグリティを総合的に考慮した手法が重要となる。GAを用いたレイアウト手法は,市販のEDAツールに比べ,遅延や電力を削減した高品質のレイアウトを実現した。この研究・実験により,GAの組み合わせ最適化問題に対して非常に有効であることが確認できた。一方で,処理時間に関して,市販のEDAツールより300倍以上の処理時間を要したことは,専用ハードウェア化を行った場合に,リアルタイム処理を実現するためには,少なくとも1000倍以上の高速化が必要になることが分かった。そのためには,並列処理だけではなく,パイプライン処理による高速が必須である。 2)実用的なアプリケーションでのGA専用ハードウェアの設計・検証 上記1)の検討を踏まえて,GAに基づくシーケンスペア表現によるフロアプラン専用エンジンアーキテクチャを考案した。提案アーキテクチャでは,代表的なGAの進化戦略をほとんど網羅することによる進化戦略に対する高い自由度を実現した。また,評価演算や交叉といった遺伝オペレーションのパイプラインだけでなく世代モデルを考慮した進化パイプラインを実現した。さらにFPGAに実装した評価実験によりその有効性を確認した。
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