研究概要 |
本研究の目的は,"遺伝的アルゴリズム(GA)によるニューラルネットワーク(NN)の学習"と"誤差逆伝播法(BP)によるNNの学習"を併用できる専用アーキテクチャを開発することである。本年度の研究内容と成果は以下のとおりである。 1)メタアルゴリズムのハイブリッド探索のための実用的なアプリケーションでの検討 効果的なハイブリッド学習を実現するために,GAのハイブリッド化手法について検討した。具体的には,LSIのフロアプラン設計において,バス配線を考慮したGAと局所探索法を組み合せた新しいハブリッド化手法を考案した。また,ベンチマークデータを用いた評価実験によりその有効性を確認した。 2)免疫機構を加えたGAの専用ハードウェアの設計・検証 GAの探索能力を向上するためのアプローチとして,免疫機構を導入した専用ハードウェアをあたらしく考案した。また,多重制約性のあるNSPへ適用し,その有効性を確認した。 3)ハイブリッド探索専用ハードウェアの検討・設計 上記1)の検討を踏まえて,GAとSAのハイブリッド探索を実現する汎用アーキテクチャを考案した。提案アーキテクチャでは,各回路ブロック間のデータをバトンという新しい概念を用いることで,高い汎用性を実現した。また,評価演算や交叉といった遺伝オペレーションのパイプラインだけでなく世代モデルを考慮した進化パイプラインを実現した。さらにGAとSAのハイブリッド化に関して,GAによって大域的探索を行った後に,SAによる局所探索を行うハイブリッド化だけでなく,SAをGAの進化ルームに組み込んだハイブリッド化も実現した。また評価実験によりその有効性を確認した。
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