研究概要 |
本年度に得られた研究成果は以下の三点に整理される。 1、マルチスケールシミュレーション並列計算基盤の開発 マクロスケールのヒトの運動の特徴量を高速、高精度に抽出する手法を開発した。具体的には、並列計算ツールであるGXP, MPICH, SCALAPACKを用い、リング状にネットワークしたクラスタでパイプライン処理するシステムや、大規模な行列計算を高速に行うシステムを構築した。 2、データベースに登録されたミクロスケールモデルの統合化手法の開発 運動系全体の状態をシミュレーションするためには、部位により異なるミクロスケールの細胞の性質をモデル化する必要がある。生命科学者により記述された細胞モデルや、解剖学的生理学的知識が、レビューされ、データベースに多数登録されている。これらを活用することができれば、信頼性の高い要素で構成されるシミュレータを構築することができる。データベースに登録されたミクロスケールモデルは、本来単体で動かすように作成されたものであるため、他のモデルと連携が困難である。そこで、これらのモデルを再構築し、統合化するシステム構成法を提案した。即ち、入出力をモデルの中で整理し、再構成したモデルを異なるサーバに分散配置し、計算機毎に計算エンジンがモデルを読み込んで実行する。複数サーバで実行されるモデルの計算を一箇所でモニタリングし、互いに入出力を送受信する。計算エンジンの種類によらず、細胞複合体モデルを構成できるようになった。 3、マクロモデルとミクロモデルのインタフェース手法の開発 マクロスケールで観測される運動データに基づいてミクロスケールの現象を予測するために、マクロスケールの解剖学モデルにミクロスケールの生理学モデルをインタフェースする手法を開発した。これにより、マクロスケールの運動を外部から観測して、ミクロスケールの内部状態を予測できるようになった。
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